失くして気づく、大切さ

暑さの盛りも過ぎたようだが、まだまだ暑い日本列島。
体調管理も難しいなか、自転車に乗られている方も多いはず。
夏休みぶっ通しで乗っていた、なんて方もおられるのではないか。

晴天の下で自転車に乗るのはとても気持ちいいのだが、リカバリーの日にはあえてローラー台で流すこともある。
実走であると暑すぎ寒すぎで疲れたり、つい踏んでしまったり、長すぎたり短すぎたりしてしまうことがある。
ローラー台であれば、強度・時間ともに調整しやすいし、室内の快適な空調で汗を流すこともできるからだ。

もちろん、レースのウォームアップやクールダウンの際にもローラー台は必需品。
レース現場に持ち込むならば、携帯性が高く、実走感に近くて集中できるローラー台が不可欠だ。


MINOURA FG220
キナンサイクリングチームが愛用する、ローラー台。
いわゆる”ハイブリッド型”。フロントフォークを固定する”安定感”と、後輪は3本ローラー形式の”実走感”の両立を果たした、新しいタイプのローラー台。


折りたたんで専用バッグに入れて持ち運びができる。
全長も60cm足らずのコパンクト設計。重量も6kgと、ローラー台の中では超軽量の部類に入る。


展開は極めて簡単。
バッグから取り出して


フォークマウントの三脚を展開する。


9mmクイックレリーズと15mmスルーアクスルに対応。
フォーク受けのハブにはエストラマーが装備されていて、フォークにかかる前後左右の動きを吸収しつつ、自然なバイクの挙動を確保。



次に、後フレームを展開する。
センターフレームの長さを調整して、930mm〜1,200mmのホイールベースに対応。
後輪を固定しない自重式なので、タイヤに優しく、自然な実走感が得られる。


マグネット式の抵抗器が装備。
スイッチひとつで、負荷を上げることができる。負荷をかけても自然な走行感は全く変わらない。


使用感は全く申し分ない。
軽く汗を流すには十分な負荷はかかるし、いつでもどこでもすぐに乗り出せるというのがキモではなかろうか。
ローラー台から実走し出した時の変な感じもないので、ストレスフリー。


バイクのセッティングも、前輪を外してフォークマウントに載せ換えるだけ。
わずかなスペースさえあれば、すぐに展開できて乗車できる。


レースやタイムトライアルのスタート待ちなどで、スタート地点まで簡単に持ち運び・装着脱着できるので、スタートぎりぎりまで脚を回すことができる。


車からすぐに取り出せる携帯性で、レース後のクールダウンもすぐに開始できる。
特に寒い時期のレースでは、クールダウンでゆっくり走っていると冷えてしまって身体にダメージを受けてしまう。


信頼の”Made in Japan"!!

選手をしていると、冬季に雪が降り積もって凍結して何週間もローラー練習なんていう時もある。
やむ得ずローラー練習せねばならぬなら、音楽を流しながら集中したり、テレビを見ながら追い込んだりして、集中できるよう色々工夫するようになってそれはそれで楽しくなってくるから不思議なもの。
何週間も続くと、外に出れるようになっても何だか億劫になってローラー練習にしようか、なんてこともある。

キツいのは確かだが、個人的には色々管理できるローラー練習は嫌いではないので、あまり苦になったことはない。
というのは、やはり変わっているのであろうか...

MINOURA




以下、駄文。

「ローラー練習はお好きですか?」

恐らく大半のサイクリストは、「No」と答えるだろう。
自転車の楽しみ(自分の考える)は、空気を感じながら流れゆく景色を楽しんだり、旅程を楽しみながら目的地へ訪れたり、それこそ自分たちの様にレースで競い合ったりする事だと思う。
楽しみ方、乗り方は無限大だ。

いずれも”移動”している事が本質ではなかろうか。
A地点からB地点に行くまでの”物を運ぶ、目的地・行程を楽しむ、順位を競う”、”移動”が手段にしろ目的にしろ、サイクリストの大半は自転車で”どこかに行く”のが好きなのだと思う。

よってローラーが好かれない理由は、色々考えられる。
暑くて汗が止まらない、キツい、何より楽しくない。
ごもっともである。何故なら、いくら出力を出そうが、どれだけ長く乗り込もうが、おのれ自身は1mmも前進することは無いから。
本質である”移動”という観点から見れば、いかに無効率で無駄な事をしているか、甚だ不毛な行為であると言わざるを得ない。

しかし、今日では殆どのサイクリストがローラー台を所有しているのではなかろうか。
そんなローラー台について、思いを馳せてみたい。

ローラー台がいつどこで発明されたのか、全く知らない。
だが、世界で最初にローラー台を作り出した人物(仮に®氏とする)は、恐らく最初にこの様に考えたに違い無い。
®氏「その場で自転車を漕ぐ事ができれば、とても便利に違い無い!」
目的地へ向かうため発明された乗り物である自転車なのに、わざわざ”その場”で漕ぐ必要に迫られた®氏。何故であろうか。
それは恐らく、”移動”する事が目的ではなく、運動生理学的に負荷のかかった”ペダルを回す”事が目的になったからに違い無い。

”ペダルを回す”だけの必要性がある事とは何であろうか。

もし®氏がプロサイクリストだとしたら、どうであろうか。
プロサイクリストである、もちろんレースに関する事に違いない。
天候不順で外で乗れない、特定の強度で追い込むため、ウォームアップやクールダウン(その概念があるとして)をレース会場でするため、不足分の練習をするため、こんな具合であろうか。プロサイクリストとして自転車に乗れないことは死活問題であるから、何らかの事情で身体への負荷が不足している場合には、ローラー台の様な物があれば嬉々として使うに違いない。

では、®氏が仕事をしながら趣味として自転車に乗っていた場合を考えてみる。
ずっと競技として取り組んできた自分からすると、なかなかこれは考えるのが難しい。
だがやはり、何かしらの目標があったはずだ。そして始業前、終業後にしか乗る時間がなかったはず。つまり、時間的制約があったはずだ。
イベントに向けて練習を継続するため、朝晩(朝は始業に間に合わせ、夜は危ない)のきっちり決められた時間内でしか乗れない、もしくはストレス発散で純粋に”ペダルを回す事”が楽しみだったのかもしれない。
はっきりできないが何かしらの目的・目標があって、どうしても乗りたい・乗らなけらばならない状況にあったと思われる。

きっと®氏はローラー台を完成させた際には、
「これでずっと自転車に乗り続けられる...」
と、大変に感激したはずだ。

いずれの理由にせよ、ただペダルを回すだけでなく、負荷がかけられる様な機構ありきで誕生したのではないか。
もしそうであればドライジーネから始まった自転車の発展とともに、”スポーツ”としての自転車が誕生して、スポーツの器具のひとつとして”ローラー台”が誕生したはずだ。
もし、人・物の運搬器具の自転車としてだけ発展してくれば、ローラー台は誕生しなかったと思われる。

そう考えれば、現在でもローラー練習に挑む人には何かしら目的・目標があり、ローラー練習に挑むには、やはりほんの少しのストイックは必要なのであろう。

高校時代の自分もレースに向けて、毎日学校から帰ってから多摩丘陵で練習していた。
春〜秋にかけては、ライトを点けて暗くなってから帰ってきた。
しかし、冬になると路面は凍結するし出発時点で暗いし、公道でスピードを出すゆえに危険を感じていた。
高校2年になってから少しずつ貯めてきたなけなしの小遣いで、やっとローラー台を買うことができて、当時はとても嬉しかったものだ。
買った当初はローラー練習のキツさを知る由もなかったのであるが、それはそれで楽しかった思い出がある。
きっと®氏もあんな気持ちであったのだろうと、今書きながら思いに耽っている。


もし、連日のローラー練習で苦しんでいる方は今一度、初心に戻って目標の再確認をしてみては如何であろうか。きっと最後まで踏み切るパワーが湧き出てくるはず。
そしてローラー練習の楽しさを感じる事ができれば、きっと上達まっしぐら、®氏も喜んでくれるに違いない。

MINOURA

コメント

  1. タイトルから、ローラーの部品を無くされたかもしくはローラーが変わって先代のココが良かった的な内容なのだろうか?と読み進めていたところ、ドライジーネのくだりで『ココがタイトルにかかる部分かー!(≧∀≦)/』となり(違っていたらスミマセン)、発見の喜び?を味わいました
    そして初めてドライジーネの存在を知りましたが、従来の馬などがひいた横に二輪の形から縦に二輪の形になって現在の二輪車の原型となっているのが興味深いです(((o(*゚▽゚*)o)))

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  2. 合宿でローラーが無かったので「こんな時にこそローラーがあったらなぁ」と、ローラー台の有り難みをつくづく感じました。

    MINOURAでは、1978年にローラーの販売を開始されたみたいですね。
    http://www.minoura.jp/japan/trainer/hybridroller/special/about-hybridroller/about-hybridroller.html

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    1. ひょええぇぇ、失礼いたしましたスミマセン<(_"_)>
      そういえば激しく雨が降り出した時の様子がチームブログであがっておりましたですね

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