新しいタイヤは、

平成から令和へと変わり、激動の一年を迎えている2020年。
早くも師が走り出すであろう年末を迎え、落ち着かない日々が始まりそうである。
新しい生活様式や3密なんて言葉も生まれて、我々の生活は一変した。

ただし、ネガティブな変化ばかりではない。
iRC TIREからは今までの常識を覆されるような、新しい装着様式のタイヤが出ている。

新しいタイヤは...


「レディ」
であります。
Formula Pro Tubeless Ready S-Light
ロードバイク用チューブレスタイヤ黎明期からのパイオニアとして、常に新しいチューブレスタイヤを開発してきたiRC TIRE。
今まではチューブレスの軽量モデルとしてラインアップされていたFormula Pro Tubeless Lightが、チューブレス”レディ”として新たになった。

チューブレスレディとは、チューブレスタイヤのインナーシールを廃することで軽量化を狙ったタイプ。
代わりにシーラント剤を注入することで、空気を保つ気密性を密にしている。


トレッド、コンパウンド、ビードの3つの”ド”が新世代共通で改良されている。

トレッドパターンはセンターにも杉目が入り新しく縦溝が入れられているのだが、これが転がり抵抗の低減とグリップ力の向上、という相反する課題を同時に改善している。

走行感としては走り出しで分かる、今までのチューブレスとは明らかに違う踏み出しの軽さ。
インナーシートのないせいか、ダイレクトな踏み心地でケーシングの剛性感を感じる。

何より、クリンチャータイヤ単体に匹敵する軽量性が大きなアドバンテージであろう。

チューブレスタイヤのクリンチャーやチューブラーに対するメリットについては色々あるのだが、唯一のネックとして重量があった。
特にチューブラーに対しては転がり抵抗やグリップ力など、タイヤ自体の性能としては匹敵したり上回っていたりするものがあったのだが、加減速に関わる重量でどうにもレースでの使用となると難しいところがあった。

ロードレースにおいては、一定のスピードで巡航するという場面は、ほぼないと言っていい。
平坦で淡々とペースを刻んでいるように見える集団内でも細かい加減速がずっとあって、パワーデータで特にW'なんかを見たら一発でわかると思うが、ずっとインターバルスプリントをしているようなものである。
同じような脚の使い方を練習で再現しようと思ったら、電柱のひと区間毎にZ5以上のパワー領域で踏むような走り方になる。
レースこそ最高の練習である、とはよく言ったものであるのだ。

それはさておき、タイヤ周りの重量を考える時にはホイールシステム、特にリム重量込みで考えなければならない。
リムにより強度と耐久性を求められるクリンチャーやチューブレスホイールと、シンプルな構造のチューブラーホイールとなると、やはりタイヤの差だけでは補えないホイールの差というのは出てきてしまう。

モデルチェンジで大幅に軽量化され、重量の面でもホイールシステムとしてチューブラータイヤに肉薄してきた5代目のFormulaシリーズ。
ヒルクライムレースなどでは、S-lghtの軽量性とチューブレスタイヤとしての性能はかなり武器になるであろう。

グリップモデルとして銘打たれているFormula Pro Tubeless RBCC
こちらは従来のチューブレスタイヤであるが、劇的な進化を遂げていて、走り出しの最初の1mmで感動を覚えた。

トレッドパターン、コンパウンド、ケーシングは、S-Lightと以降に紹介するX-Guardと共通なのだが、RBCCは乗り味が少し異なる印象。

何よりも衝撃的だったのは、ほぼチューブラーと言えるしなやかな乗り心地。
ブラインドテストなら違いが分からないくらいである。

ケーシングの剛性感で芯のある硬さと路面を密に捉えるコンパウンドの柔らかさのコントラストが、非常に優れた乗り心地を再現している。
平坦巡航時には、柔らかなコンパウントが路面の嫌な細かな凹凸をいなしつつ、硬さのあるケーシングがパワーを的確に路面へと伝えて、走っていて非常に気持ちのいい乗り心地である。
コーナリングでは、芯のある硬さでタイヤを路面に押し付けて、コンパウンドの柔らかさが”ムチっ”と路面を捉えて、落ち着いた挙動でとても安心してコントロールしやすい。

RBCCももちろん軽量化されて、インナーシートがかまされつつも、シーラントを注入したS-Lightnに近い重量となる。

レースだろうと、ロングライドだろうと、あらゆる場面で安定した乗り心地を感じることができる。

ケーシングにX-Guardを追加して耐パンク性を高めたFormula Pro Tubeless X-Guard

乗り心地はS-Lghtに似ている感じがして、トレーニングタイヤとして最適。
X-Guardが入ったせいか、S-Lightより少し硬く感じられる。
しかし、そこはチューブレス。
チューブレス × X-Guardによる相乗効果で、非常に荒れた路面や街乗りなどの空気圧を落としたいコンディションでも、自由に安心して柔らかめにセッティングできる。


新世代共通で新たに改善されたビードが、格段にタイヤへ嵌めやすく、よりタイヤとホイールを密に装着できるようになった。

FULCRUMとの相性は抜群で、タイヤレバー、石鹸水入らず、素手で、不安になってしまうくらい簡単に嵌った。
なんならクリンチャーのASPITEの方が硬いくらいである。
そして外すのも素手でいけてしまう。


そんでもってしっかりと嵌っているのだから、普通のポンプで一発で空気の注入が完了する。
走行中に外れるとか、そんなことはもちろんない。

チューブレスタイヤの交換で、にっちもさっちも行かなくなって途方に暮れた経験がある方も多いかと思われるが、新世代のFormulaならば安心して自宅で交換できるだろう。


もちろん、絶対的信頼を寄せている神タイヤ、Aspite Pro RBCCも健在。
走行性能、耐パンク性能、耐久性能、タイヤでよく問われる”3つの性能”が高次元でバランスが取れている。


クリンチャータイヤながら軽い走行感、RBCCのグリップ力で、レースでの使用も対応する走行感。

トレッドが全然減らないので、お店で入荷してもタイヤライフが長すぎて数が出ないではないかと勝手に心配している。

そして脅威の耐パンク性能は、かなり周知されているかと思われる。
元喜が走り込んで、タイヤセンターを一周丸々ケーシングを出しながら走っててもパンクしなかったのは凄かった。

新しい3つの”TL(R)”。
フラッグシップモデル以外にも様々なラインアップと選択肢を取り揃えている。

個人的にMTBで探検とか冒険もしてみたかったり...

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