割れぬ

こう見えて(?)、私は空手の有段者、黒帯である。
確か、中1くらいの時に昇段試験を合格した。

私の流派では初級(白帯)から始まり、昇級試験に受かると10級補、10級、9級補、9級......1級、と昇級して、昇級とともに帯の色(色帯)が変わっていく。
1級者が昇段試験を合格すると段位者となって、黒帯を締めることが許されるのだ。
段位は、初段から2段、3段...と上がっていく。

昇級試験は、形や組手、礼儀作法などの基本を見られて、ヘマをしない限りは合格できる。
ところが、年に2回ある昇段試験になると一気に難易度が上がって、形を2つ、道場の門下生全員と組手、筆記試験と、こなす内容も審査の基準も厳しくなる。
そして私の流派ではさらに”板割り”が、試験科目として課せられていた。
板といってもそこらのベニヤ板などではなく、厚さ5cmの杉の一枚板を正拳突きで突き割る一発勝負、というものだった。
これが難しくてなかなか割ることができず、私は板割りで2回落ちた。
まぁ、これが痛いのなんのと...手も心も。

意気消沈しているところ、道場の先輩が密かに、
「板を天日干しにして、カリッカリに乾燥させるんだ...!」...と。
武道の先達として風上にも置けぬアドバイスではないかと、一瞬だけプライドがヤッホーしたが、背に腹はかえられぬ。
武道を歩む者としても、どうしても倒さねばならぬ敵との出会いがあれば、いかな卑劣な手段を使ってでも倒さねばならぬ時があるのだ。
血の滲んだ拳を握りしめ、私は決意した。

翌日から私は次の昇段試験へ向けて、試験用の板を、快晴の日には欠かさず天日干しをした。
雨の日はクローゼットにしまい込んで、湿気を吸わないようにした。
もちろん稽古にも励み、拳立てなどで己が拳を鍛え上げた。

そして、三度目の昇段試験を迎える。
言っておくが、昇段試験だってタダではない。
当日はさらに、家を出る直前まで板をドライヤーに当てて、完全に水分を飛ばし切った。
乾燥しきって、重量が1/10程にも感じられるほど軽くなり、師範にやり過ぎを疑われやしないかヒヤヒヤした。

いざ昇段試験が始まったが、特に何を言われることもなく、いよいよ板割りへ。
全神経を研ぎ澄まし、板の割れるイメージを思い浮かべ、板を持つ師範もろとも突き抜かんと気合いとともに拳を走らせた。

軽快な音とともに、板は割れた。

乾燥させたお陰なのか、稽古に励んだ成果なのか、今となっては分からない。
ひとつ言えることは、いずれの場合も、一切の妥協はせず、最大限の努力を欠かさずに行った、とだけは言えると思うのだ。

でもまぁこの時期、唇がよくひび割れるのは、だいたいは乾燥のせいであると言えよう。


Aggressive Design Lip Protect Cream "Hemere"

このエメレと出会う前は苦労していた。
唇や口角はよくカッピカピになって、プッチンプッチン切れていた。
特に油断している時にふと口を開けたときのプチっと切れる、あの痛みのせいで2~3秒動けなくなってしまうという経験もお持ちであろう。
繰り返される破裂と修復のせいで、唇はガサガサに荒れてしまう。

それもそのはず、自転車に乗れば冬場の冷たく乾燥した風に晒されて、唇表面の血行や湿度が低下する。
すると紫外線やウイルスなどに対する免疫も低下して、唇は炎症を起こして荒れてしまう。
正確には唇は皮膚ではなく粘膜であるので、もともと肌よりも免疫や保護機能は低く、外部からの刺激対して非常に弱い部位であるのだ。

ダメージ受けた部位を修復するのに、体は大きいエネルギーを消費する。たとえ唇であっても。
何より口付近に感じる痛みというのは、集中力の妨げになりやす。
皮膚に2~3mmの切り傷が入ってもなんともないが、口にできるととても痛く感じはしないだろうか。

かと言って、私の持ってた市販のリップクリームはベトベトしてて、補食やボトルを口にするのに気を使う。
ネッグウォーマーにも移ったりして、ちょっと気持ち悪い。
それに、スースーして冷たく感じる。
口呼吸や水分補給が多くなるスポーツだとすぐに落ちてしまう、など少々頼りなかった。
ワセリンなんかも試したが、あの厚ぼったく感じるのはいただけなかった。

エメレはそれらのリップクリームにありがちな弱点を、見事に克服している。
さらに紫外線から体を守るメラニンを作り出せない唇を保護するために、UVバリアコート(SPF32/PA+++)の日焼け止め機能も含まれている。
夏場は特に、外から帰ってくると唇がヒリヒリすることはないだろうか?
それは紫外線による刺激でダメージを受けている証拠。
刺激に弱い唇には一般的な日焼け止めを使用できないが、エメレならば保湿保護をしながらも”SPF32/PA+++”というリップクリームとしては強力なUVケアも同時にできる。


無味無臭無色で、体温や夏場の高温下でも型崩れしたりベトベトにならないので、非常に扱いやすく着け心地が良い。
2~3時間を目安に塗り直すように言われているが、保湿の観点からすると終日保湿されている感じは残る。


容器も非常に剛性を感じるもので、多少乱暴に扱っても大丈夫そうだ。
Aggressive Designの自転車に乗られる方が、ジャージポケットにエメレを入れたまま落車されてしまったらしいのだが、ジャージは破けてもエメレは割れたりせず何ともなかったそうだ。お身体も。

つけてもらえば分かるが、本当に着け心地が無いというか全然気に留まらない。
変にプルプル感を出したり、ベタつきや層に包まれている感も何も無い。
だけれども確実に保湿されていて、ごくごく自然な、ぷにぷにな状態を保持してくれる。

日焼け止め成分の長時間の使用は逆に荒れる原因にもなったりするので、一応クレンジングなどで落とすことを推奨されている。
就寝前に落とせば良いくらいではあるらしいが、気になる方はお早めに。
私はしょっちゅう落とし忘れたりするが、荒れたことはない。

もちろんドーピングに懸念される材料などは一切使用しておらず、競技者でも安心して使用できる。


Aggressive Designのブースが出店されているレースやイベントでは試し塗りもできるので、機会があればお試しあれ。

Aggressive Design
WAKO'S

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