これはいい


真夏のシマノ鈴鹿を終えて一路、いなべ市のサイクルターミナルへ。


サイクルターミナルではレンタサイクルやサイクルイベントといったサービスをはじめ、自転車用品やグッズの販売、空気入れや更衣室などが利用したりできる。


私が訪れたのは、いま流行りの"e-bike"でいなべ市内をぐるっと回ってみよう。
e-bikeは言うなれば、スポーツ仕様のバイクに電気モーターを組み込んでアシスト機能を持たせた電動アシスト自転車である。
25km/hまでアシスト機能が働き、特に坂道などで効果を発揮する。


ターミナルには様々なガイドマップが取り揃えられている。
いろいろ見ていると、あれもこれもと気になってなかなかルートが決まらない...
とりあず今日の目標は、いなべ名産の緑茶を使ったいなべ名物「茶っぷりん」を巡ることに決めた。


サイクルターミナルでレンタルできるe-bikeは、イタリアンメーカーの”benelli TAGETE 27.5”。


ダウンチューブに取り付けられたバッテリー。
ハンドルのボタンで、アシスト力や走行情報表示などが操作できる。
最長100kmの電池容量らしく、さらにUSB機器への充電も可能。


スマートフォンや財布などを収納できるフレームバッグ。
携帯電話をナビ代わりに使用しながら、スポット巡りを楽しめる。


もちろんバッテリーはフル充電。
シマノ鈴鹿で筋破壊された脚をいたわるために、今日はアシストパワーを最大の「5」に固定。


あーでもこーでもない...と迷いつつ、いよいよ出発。


の前に、洋菓子・喫茶の「アミアン」さんへ。
軽く腹ごしらえをしていく。


モーニングは食パンにバター、カスタード、ジャム...など、好みのものが選べる。
コーヒーさっぱりめで、軽やかな飲み心地。


そして、ひとつめの茶っぷりん。
茶の香りと小豆のコクと甘さがマッチして、あっと言う間に食べ切ってしまった。


続いて向かったのは、創建から1000年以上前とされている賀毛神社。
お隣には11代に続いて宮司を務められている社家のお宅があり、突然の訪問でもいろいろお話をしてくださった。


そのまま三岐鉄道を線路沿いに登っていく。

バイク重量はかなりあるので、乗り手とバイクの重さを支えるアルミフレームはかなり頑丈で硬い感じがする。
ハードなブレーキングでも、ヘッド周りやブレーキに不安を覚えることもない。
バッテリーの備えられたダウンチューブと、モーターが組み込まれたBB周りを見れば、しなりもへったくれもないのだが。

でもやはり、それでも快適な乗り心地である。
Fサスと太いタイヤによって乗り心地は犠牲にならず、電動アシストによって疲れることもない。

走るうちに、段々とこのバイクの走らせ方が分かってきた。
とにかく、全てをバイクに委ねてしまうのである。
ポイントとしてはやはりスピードで、スピードが落ちれば落ちるほどアシストパワーが強力になり、スピードが乗るほどにアシストパワーが落ちてくる。

いなべのようにアップダウンが続く道では、とにかくペダルを回すことだけを考えていれば良い。
坂道などでスピードが落ちてきたから踏み直そうとすると、アシストパワーが得られずに、重い車重を含めて踏み直す羽目になるのでかえって辛くなってきてしまう。
そうではなく、坂道や登りに入った際には、気持ちのいいアシストパワーを得られるまでは踏みたくなるのを我慢して、自分の快適なケイデンスとモーターの出力度合いの折り合いがついてバイクが進み出すのを待てば良い。

ギアに関しては、本当に一番気持ちのいいと感じるギアで良い。
ロードバイクみたいに脚の感覚から、ケイデンスとトルクのバランスを取るためにギアを細かく変えて...ということをせずとも、トルクの方は勝手にバイクが調節してくれる。
なんか重く感じるから軽くする、くらいの適当さで十分に走ってくれる。

注意点としては、アシストレベル5になると、スタートの踏み出しで前輪が浮くこともあるので要注意。
そして、あまりモーターに頼りすぎると、電池の消耗が早くなるかと思われること。
試しに一回、登り坂でアシストを切ってみたが、とても走れたもんじゃない。
ただ、アシストパワーを得て加速すると、意外と早く25km/hを超えてくるので、案外モーターに頼りっぱなしということもあまりない。
下り坂でも、ロードバイクとそんなに変わらないスピードは出る。


よいこらと田んぼと集落を抜けていき、鳴谷山聖宝寺。
807年に最澄が開いた禅寺。


聖宝寺へ至る激坂も、e-bikeでスイスイである。



汗ダラダラで山の上までたどり着けば、木陰で涼しい見事な庭園で癒される。


もみじがたくさん植わっていて、紅葉の名所としても有名。


庭園まで響いてくる滝の音は、境内から奥に100mほど歩いた所にある鳴谷滝。
響き渡る低い音からは、火照った体を優しく冷ます涼しい空気が流れてくる。


聖宝寺すぐ下、鳴谷神社。





聖宝寺の守護神として建立され、以来地域を見守り続けている。


鳴谷神社では狛犬ではなく、神様の使いの狛猿が社を守っている。


いなべの寺社では、参拝の印として御朱印というものが頂ける。


電動アシストがあっても、腹は減る。
昼食で立ち寄ったのは、Cafe Attenteさん。


温かみを感じる落ち着いた店内。
この日の日替わりランチは、玉ねぎとジャガイモのスープにローストチキンと生姜ご飯。
なんとも体に優しいメニューであろうか。

夏バテしそうなこの天気でも、美味しく頂くことができた。


そして茶っぷりんを、と頼んだら予約制とのこと。
代わりに、ほうじ茶プリンをお願いした。

これがなんと美味しいことか。
まるで、ほうじ茶をプリンになるまで煮詰めたかのように濃厚に広がる香り。
そこにプリンの濃厚な舌触りと卵のコクが、お互いをより一層引き立てる。

次回こそは、茶っぷりんを頂きたい。


腹も満たして、いなべへ自転車で来たなら一度は登りたい鞍掛峠。
きっとこのe-bikeなら、楽チンに登れるはずである。


鞍掛峠を登る前には、ぜひ水分補給を。
登り口隣には、三重県北部の水を賄っている水源地がある。

キンキンに冷えた湧水はマジでうまい。
近所の方々もここに水を汲みに来られていて、この日も多くの方が水を汲みに来られていた。


ずっと手をかざしていたらかじかみそうになるくらい冷えている。


水道・農業・工業用水を賄っているらしい。

水も十分に補給して、いざ鞍掛峠を登り始める。

ロードバイクでもかなりキツい峠だが、e-bikeならば風を感じながら快調に登ることができた。
これならば、子供や女性でもかなり速く登れるだろう。

しかし、悲しいかな。
選手の性であろうか、登りでスピードに乗ると、ついスイッチが入って踏んでしまう。
昨日、あれほど鈴鹿で踏んだのに。

斜度のある鞍掛峠であるが、アシストがあれば楽に25km/hを出すことができる。
もちろん、アシストがなくなると同時にスピードの伸びはなくなる。


そんなこんなで頂上へ到着。
アシストレベル5、20km/h巡行でバッテリーを2個半くらい消費した。

楽に乗るためにe-bikeに乗っているのに、楽になるが故に、逆に踏んでしまってゼェハァするというパラドックスに陥ってしまった。

下りは結構テクニカルなので、ゆっくり。
ディスクブレーキで安心感はあるが、空気圧の低めのタイヤを履いているので、コーナーではタイヤの腰砕け感が少々。

凹凸のある箇所もあったりするが、Fサスの力で何も考えずにラインをトレースできる。


ゆっくり下り切ったら、すぐ近くの”ふじのいち”さんへ。
菓子工房と農産物の直売が利用できる。


ここの茶っぷりん。
ストローで吸いたくなるようなキメの細やかな舌触り。
お茶とあんのシンプルで素朴な味が、疲れた体に染みる。


そのまま、梅林公園へ突入した。
もちろんTOJコース名物のいなベルグを目指して。

電動アシストとて、やはり一番軽いギアでも少々踏んでいく感じ。
スピードも10km/hを下回り、キュイーンとモーターがフル稼働している。


いなベルグを登りきり、頂上からさらに桜公園へと続く激坂を登る。
いなベルグを超える斜度でも、モーターによって後ろから押されるような感覚は衰えない。
ここまでの斜度になると、ほぼモーターだけで走っているようなものかもしれない。笑


頂上からはいなべを一望できる。
目の前のパノラマから、今日辿って来た軌跡を眺める。
陽の時間も短くなり、夏の終わりも近づこうとしているなか、この夏も色々あったなぁ...と物思いに耽ける。


などとのんびりしていたら、重大な事実が。
そう、もうバッテリーが1つしかないではないか。
鞍掛峠と梅林公園までの登りで、だいぶ消費したよう。

ここからサイクルターミナルまでは下り一本とはいえ、何箇所か登り返しも...

そこからは怒涛の追い上げ。
下りと平坦は良いものの、登り返しは全力走行でなんとか25km/h以上をキープ。
車重で流石にいかほどかはアシストが効いてきたが、意地で踏ん張る。


なんとかサイクルターミナルまで、無事に到着。
これだけのアップダウンをフルアシストで走り、70kmも走ることができた。

バッテリーはどれくらい持つかは、やはり走り方次第であろう。
アシストレベル、巡航速度、信号、獲得標高...
鞍掛峠や二ノ瀬峠など、かなり消耗する峠を登らなければ、いなイチくらいは余裕で行けるかもしれない。


帰りの際は、サイクルターミナルからすぐの阿下喜温泉へ。
掛け流しの天然温泉で汗を流して、身も心も綺麗にして帰路につこう。

初めてe-bikeに乗った訳であるが、普段の練習で追い込む毎日とは少し違う自転車の乗り方に触れることができた。
あの峠で何分のメニューをこなして、何時間以上乗って...という乗ることが目的の練習ではなく、「あっちには何があるんだろう」「ここには名所があるらしい」などと自由気ままにあっちこっち探検する乗り方も、なかなか面白いもんである。

何よりバイク任せで楽に走れるのが、気持ちに余裕を持たせてくれる。
e-bikeだからこそできる、乗る人によって違った乗り方や楽しみ方。

まずは、e-bikeで茶っぷりんの制覇を目標としたい。

いなべサイクルターミナル

コメント

  1. 匿名7/9/19

    写真ステキ~!スマホですか??一眼ですか?
    茶っぷりんの時はぜひご一緒よろしくです!

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    1. 一眼です!
      茶っぷりんは予約のところが多いので要注意です!

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