贅沢 ver.1.3

自分がよく変人と言われる所以のひとつに、無類の雨練好きだという事が上げられるであろうか。

元々雨が好きで、雨の匂いや音、普段と違う雰囲気に堪らなく興奮するのである。
屋根に雨が当たる音で目覚めて、靄がかった山々が広がる日には、もうテンションは朝からMAXである。表情には一寸も表さないけれども。
雨天時の湿度と薄暗さが、この陰湿で鬱蒼とした性格とマッチするのであろう。

facebookでも雨練について度々書いているが、すぐ頭も身体も熱くなってしまう自分にとっては、常に冷却されていく雨練の方が踏めて集中できる気がするし、そもそもあまり寒いと感じた事はない。
目に入る景色の表情が違って見えたり、いつもより周りが静かに感じられ、なにより精神的満足感が満たされるのである。

基本的に
・路面の積雪、凍結や落雷の可能性がある
・疲労がかなり蓄積している
・レースが数日後に控えている
のどれかに当てはまらない限り、雪でも雨でも外に走りにいく。いや、走りに行きたい。

もちろん、普段の練習とは違った雨練の準備をしなければならない。

まずはジャージを着る前には、入念なウォーミングアップ、補助運動をすること。
少し汗をかくくらいに、普段より身体を温めてから着替えたい。

次に股ずれ防止のクリームを塗ること。
濡れた状態でサドルに座りペダルを回すと、すぐに股ずれの発生を招く。
また同様に、暑いレースにおいて水を被る行為も股ずれを引き起こすことになりやすいので、注意が必要だ。先のツールドフィリピンでも水を被りすぎて、最終ステージには股ずれに悩まされた。

特に服装は、とりわけこの季節は気をつけなければならない。
防水、防寒を意識したキットを選択していく。少しでも寒いと感じる装備は、装備不足である。


もちろん、ジャージキットはChampion System
この日のジャージは上から、
テックキャップ
 いわずもがな、自転車乗りにとって雨天時の必需品であるヘルメットキャップ。
APEXウェザーガードジャージ
 もはやこのジャージ無くして、レースシーズンを迎えられないであろう。
 CSウェザーガードという新素材が使われているらしく、これが最高なのだ。暑くなりすぎず、それでいて蒸れないという、まさに夢のようなジャージだ。これは本当にすごい。正直な話、これさえあればどうにでもなる。長袖もあり。
フリースジャケット
 スタンダードなジャケットであるが、極めて伸縮性が良くて肌触りがよいジャージ。
 しっかり身体にフィットするので、とても気に入っているジャージだ。
フリースビブタイツ
 このタイツも非常に伸縮性が高く、なおかつ耐久性も優れている様だ。
 すでに4ヶ月ほど履いているが、全くヘタレる気配がない。
ネオプレーンシューズカバー
 CSネオプレーンファブリックという少し硬めの生地によりしっかりとした作りになっていて、保温性、防風性が素晴らしい。足首裏のジッパーによってシューズの脱着がしやすく、履き口の滑り止めバンドによってズレも防止してくれる。
リペルジャケット
 前述したAPEXウェザーガードジャージでも十分暖かいのであるが、万が一に備えてさらに防水性が高いこのリペルジャケットを携行。
 写真には完全に写りきってないが、きれいに折りたためばジャージポケットに余裕をもって入れられる。なぜ着ていないかは後述する。

練習前にはタイヤに空気を入れると思うのだが、しっかりとグリップをさせるためにタイヤの空気圧はいつもより低く設定する。
バイクコントロールが上手な晴れの日と変わらないという人もいるのだが、恐らく大多数の人はタイヤのグリップ力低下に苦しめられるはず。
路面との接地面積を増やして、少しでも安定した挙動を確保しよう。あまり低くし過ぎるとリム打ちやタイヤが外れる等のトラブルも起こりうるので注意が必要。

どんなに短いライドになりそうでも、補給食を携行しよう。

そしてもうひとつ、出発する前に準備をしなければならないのが練習後の入浴準備である。


帰ってきたらそのままバスルームに直行できるように、あらかじめ準備をしておこう。
着替えとタオルはもちろん、プロテインもすぐに飲める状態にしておく。

あと、臀部を冷やさないようにリアフェンダーの装着は必須だ。
ジャージキットを汚れや耐久性の低下から守るためにも、是非つけていただきたい。

さぁ、準備ができたら出発するのであるが、雨練をする際には3つのリスクと戦わなけらばならない。
1、風邪やケガ
2、パンクとメカトラ
3、落車
これらのリスクを少しでも減らす為にすべきことは

・あらかじめルートと練習内容を決めておく
 これは目的意識をはっきりと持ち、迷いながら走ることを避けるためである。ルートは、通り慣れた、信号が(少)ない、路面がきれいで、なるべくすぐ帰れるルートを選ぶ。家から30分圏内を辿るルートなど。練習内容も気まぐれに走るのではなく、時間と強度を決めておき、必要なことをしたらすぐに帰ること。またあまり調子がすぐれない、少し寒く感じる、節々が痛むなどの場合はすぐに切り上げること。
・慎重に攻める走りをする
 普段よりも数倍気を付けて走ること。路面は自分で思っている以上に滑りやすくなっており、直線でも場合によっては落車のリスクは存在する。コーナーへのアプローチは、何があっても転ばない、という余裕を持った速度とライン取りを。現在主流のリムブレーキは、リムとブレーキシューの間に水が入り込み、ブレーキシューが水を捌けてからブレーキが効き始めるまでにタイムラグが発生する。タイヤの性能も基本的には下がるので、制動距離の延長とタイヤの横方向のグリップ低下を考慮したライン取りが必要になってくる。
 また水溜りや川になっているような所には突っ込まないこと。水が集まっているということは、流れてきた砂や小石もそこに集まってきている。また水面の光の反射により底がどのような状態になっているか判別できない事が多々あるので、まさしくリスクが具現化している状態として認識すべきだ。

 写真のような川や水溜り、マンホールやグレーチングを、車の通行に留意しながら避けるライン取りをすること。パンクして修理をしている間に身体が冷えてきたら最悪である。雨天ライドにおいて一番避けるべき事が体温の低下だ。体温が1度下がると体内免疫が何倍下がり、1度上がれば何倍上がる、というのを耳にしたことがあるだろう。
 体温の低下を防ぐには、常に踏み続けることだ。雨練において脚を止めることは、自分に対しての罪悪である。
・補給食
 体温を保つ為のエネルギーはかなり大きく、早め早めに補給しなければならない。
 1時間あたり、100~200kcal(レースと同じくらい)を目安に補給しながら、エネルギー切れを避ける。低血糖によりびしょ濡れの状態でコンビニに入ろうなんざ、言語道断である。もしハンガーノックになりそうなら、この日本には自動販売機という素晴らしい機械が至る所に見受けられるのでそちらを利用しよう。お勧めは身体を温める効果のあるホットの紅茶。もし周りに自動販売機がなく、コンビニがその一件しかないどうしようもない場合には、店内に入る前に水気を払い、店員の方に一言詫びを入れ、入り口のマットで足踏みをしてシューズから水が出てこないようにし、申し訳ない顔をしてすり足気味(水が出ないようにと、転ばないように)で店内に入るべきだ。これは今後のサイクリスト全般が社会の市民権を得るためにも、振舞うべきマナーのひとつではないかと考える。自分はしたこと無いが(そういう状況になった事が無いという意味で)。
・自撮り写真を撮らない(選手向け)
 たまにfacebookなどのSNSで見受ける現象のひとつに、雨練や降雪の中で頑張ったことを伝える写真が上がってくる事(小生も数回ある)がある。雨の中でしか見られない景色や、頑張った事をアピールする事は特段悪い事だとは思わない。しかし”選手”において、わざわざ止まって雨練風景の写真を撮る行為をしている余裕があるならば、平均速度3km/hを上げる、平均出力を5w上げる等に努めて、体温を0.1度でも上げる事に注力すべきだ。なお、先の川の写真は特例として認めてもらいたい。
・1人(なるべく少人数)で走る
 これも体温維持に関する事だが、人の後ろにつくことはすなわち、強度が下がっている状態だ。また、跳ね上がった水や泥を受ける続けるのは身体的、機材的な衛生面によろしくない。
 雨練においては自分のペースを下げないように走り続けることが重要だ。トレーニングメイトとペースを合わせることは非常に大切なことなので、2人以上での雨練においてはなるべく脚の揃ったメンバーと出て行こう。

そして、帰宅したらバスルームに直行する。
と、その前に30秒だけ。


帰宅後には”必ず”そして”すぐに”駆動系の清掃をすること。チェーンとスプロケットは、たった10分放置しておくだけですぐに錆が発生する。
まずパーツクリーナーで汚れと水気を吹き飛ばし、ラスペネを軽く吹き付けておく。
これだけしておくだけで、自転車へのダメージは桁違いに軽減できる。後にゆっくりと洗車をすれば完璧だ

バスルームに入ったら手洗いうがいをして、少し熱いと感じるくらいの温度のお湯で浴びよう。身体が冷え切った場合は、首の後ろにシャワーを1分当て続けると温まる。

ざっと以上の事に留意してきて今までこの方、雨練をして風邪を引いたことは一度もない。それは対策が十分できているからなのか、平熱が37度な暑がりだからなのか、風邪を引いても気付いてないだけなのかわからないが。
書き忘れるところであったがレインジャケットを着込まないのは、人より5倍(夏は10倍)の汗をかく自分がジャケットを着て1時間も走れば、汗がレーパン・タイツ、グローブに流れ込み、ジャケット無しの方が濡れないという現象に陥るからである。という、あくまで個人的な都合のせいである。
なので雨天時には最初からレインジャケットを着ることをお勧めする。
雨練のリスクは晴天時よりも高くなるわけで、そもそも雨練自体あまりお勧めはしない。

雨練に出るのでそのせいか、「モチベの塊」「もはや先生」「お父さん、パパ(特定少数による悪意を含む)」などと呼ばれてきた。
しかし、マイナス思考がベースの小生は基本的に練習はあまり好きではないし、1日中ゴロゴロして趣味等好きなことだけしたいし、なんとか楽に強くなれないか(ドーピングはしません)なんて考えたりして、人の模範になるような心構えなんか持ち合わせてはいないのだ。

また嫌々する練習ほど効果がなく、精神的悪影響を及ぼす練習はない。
大多数の選手が雨練を避けて大きなリスクと考えるのは自然なことで、あくまで雨練を嬉々として行う自分がマイノリティな変人であることを認識して頂きたい。

では、自分はなぜ練習を頑張っているのだろうか。
こんな言葉をご存知であろうか。

”やる気とは、贅沢品である”(受け売り)

やる気というのは非常に便利なもので、やる気があればなんでも積極的に取り組めて、楽しく感じられるだろう。またモチベーションが高い状態で挑むレース、練習は非常に良いパフォーマンスが出せるのは、経験されているはず。

だが、やる気というのはどうやら有限で、1年の内にやる気が溢れているのはごく僅かな時間であろう。そして、出そうと思って出せるものでもない。
やる気に溢れている状態が忘れられずに、次の練習に取り組むモチベーションが上がらない経験は自分もよくある。日々の練習でやる気が出ない、と皆が困る訳である。


気負わずに考えたいのは、そもそもやる気は必要ではないこと。
重要なのは”やる気”があるかどうかではなく、自分の本気で目指す事とシーズンの目標に向けて必要な練習を具体的に自分で把握(それが必要十分かどうかは別として)できているかの方が重要で、それを常に頭の片隅に置けていれば自ずと、「雨だけどローラーではできないから行くか」となるのである。
疲れてても、ジャージに着替えて走り出したら普通に練習ができた経験はないだろうか。

先日も面倒臭い確定申告を先延ばしにしてきて、さぼってきたツケが回ってきた。
書類整理を始めたのは14日の夕方。15日の24時までには終わらせないとやばい、という目標を頭の中でしっかりと認知した途端に、翌朝5時に完了するまで一時も休まずに集中できた。良い例ではないが。

「やる気を出せ」と言われて出せた試しはないし、人や後輩に対して言ったこともない。
うまくやる気を出させてくれるようなすごい人には何人か会ってきたが。
しかしやる気に左右されず、モチベーションと目標を無限に常に高く保つ人もいるのも事実。
ただあまり気分の上下に気を捉われず、人と比べすぎるのも良くないかと考える。

また言いたいことがよくわからなくなってきたが、何事も楽しく本気で取り組もうではないか?、といったところか。違うか。

下世話な話、今回の記事に出てきた装備だけでも個人で全て揃えたら、かなりの金額に達する事に気づいた。
万全のサポートと、全ての時間を競技に専念できるこの環境に身を置かせていただいている自分は、かなりの幸せ者に違いない。

贅沢モンだ。

走りながらいろいろ書きたい事が思い立ったのだが、忘れてしまったので思い出したら随時書き足す事にしたい。
ぜひ、雨練対策の参考としてブックマークに追加していただき、時折覗きにきて頂きたい。

Champion System

27/3 ver.1.1 細かい加筆修正
22/4 ver.1.2 細かい加筆修正
29/5 ver.1.3 細かい加筆修正

コメント